1年単位の変形労働時間制 of 労働基準法のポイント

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1年単位の変形労働時間制

 1年単位の労働時間制とは、1年以内の特定の期間を平均して、1週間あたりの平均労働時間が40時間(注)を超えなければ、特定の週については週40時間を超えて、また、特定の日については、1日8時間を超えて労働させることができる制度です。

(注)1か月単位の変形労働時間制では、常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業については週44時間が法定労働時間となりましたが、1年単位の変形労働時間制についてはこの特例が適用されません。全ての業種で週40時間となります。

 1年間に労働させることができる労働時間は、2085時間以下(6か月の場合は、1045時間以下。3か月(92日)の場合は、525時間以下)の労働時間を設定すればよいことになります。

 ただ、労働日や労働時間は検討していく上で制限なく、好き勝手に決められるわけではありません。それぞれ次のような限度が決められています。

<労働日数の限度>

  • 対象期間が1年の場合は280日が限度となります。
  • 対象期間が3ヶ月を超え1年未満である場合は、次式から求めます。
    • (1年あたりの労働日数の限度)×(対象期間の暦日数)/365日

<1日及び1週間の労働時間の限度>

 原則 1日10時間/1週間 52時間
 隔日勤務のタクシー運転者 1日16時間/1週間 52時間 

<対象期間が3か月を超える場合の連続する週の限度>

 1週間48時間を超える週は、連続3週以下になるようにすること。また対象期間の初日から3か月毎に区分した期間に1週間48時間を超える週は、連続3週以下になるようにすること。積雪地域の建設業の屋外作業者等や隔日業務のタクシー運転者はこの限度が適用されません。

<連続労働日数の限度>

 原則 連続して6日が限度。ただし、特定期間では1週間に1日の休日が確保できること。(最高12日連続労働が可能)

1年単位の変形労働時間制の導入方法

 1年単位の変形労働時間制の導入には、次の2点の手続きが必要です。

(1)労働者の過半数を組織する労働組合もしくはこのような労働組合がない場合は労働者の過半数代表者との間で、次の事項について書面で協定すること

  • 1年単位の変形労働時間制によって労働させる労働者の範囲
  • 対象期間
  • 特定期間(とくに業務が繁忙な期間)
  • 対象期間における労働日と労働日ごとの労働時間
  • 労使協定の有効期間

 この1年単位の変形労働時間制に関する協定届は、所轄労働基準監督署に届出が必要です。また、この協定届は協定を締結するたび(1年に1回)に所轄労働基準監督署へ届出義務があります。

(2)就業規則に1年単位の変形労働時間制を導入する上記の協定が締結された場合の始業、終業時刻、休憩時間、休日を規定すること

 就業規則を変更した場合も、所轄労働基準監督署への届出義務があります。

途中入社者や途中退職者の取扱い

 途中入社者や途中退職者の実労働時間(労働基準法第37条の法定割増賃金を支払わなければならない時間数を除きます)が次式による時間数を超えた場合は、その超えた時間数について割増賃金を支払わなければなりません。

上記の割増賃金を支払わなければならない時間数
=(実労働時間数)ー(法定割増賃金を支払った時間数)ー(実労働期間における法定労働時間の総枠)

※ 実労働期間における法定労働時間の総枠は、次式で求められます。
(実労働期間における法定労働時間の総枠)=(実労働期間の暦日数)×(40時間)/(7日)

 これは、途中入社者や途中退職者の実際に労働した期間が繁忙期などの特定期間のみだった場合は、週40時間の法定労働時間を上回ってしまいますが、1年変形労働時間制を導入しているときは、割増賃金が支払われないことになります。そのため、この規定の割増賃金の支払いが必要になります。

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